量子コンピューター
KSK刷新と納付書の変更
国税庁は令和8年9月、基幹システムである「国税総合管理システム(KSK)」を刷新し、KSK2を導入する予定です。これに伴い、税務署の窓口で配付される「所得税徴収高計算書」(源泉所得税の納付書)の様式も変更されます。
従来の「A4三つ折り・複写式」から、「A4サイズ・単票式」に切り替わる予定です。
納付書の変更は表面的な部分ですが、その背景にはシステム全般の大規模刷新が控えています。
データベースから「即時分析システム」へ
これまでのKSKは、膨大なデータを保管する「データベース」としての役割が中心でした。
しかしKSK2では、AIやBA(ビジネスアナリティクス)の普及を背景に、
蓄積データを即時に分析し、結果を提示できるシステムへと進化すると見込まれています。
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これまで:データは蓄積するだけ、分析には時間と人力が必要
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これから:AI・分析ツールがリアルタイムで異常値やリスクを抽出
たとえば、氏名やマイナンバーを入力するだけで、すべての税目を横断して納税者の情報を確認できるように。これまでは法人税、所得税、消費税、相続税など、税目ごとにバラバラに管理されていたようです。
税務調査も変わっていく
KSK2の導入により、税務調査のスタイルも変化すると考えられます。
まず、調査対象の選定方法が変わると考えられます。以前は「件数確保型」の調査も見られましたが、今後はシステムが抽出した指摘事項を基に対象が決定される可能性が高いです。つまり、「あらかじめ疑わしい点が見つかっているケース」が調査先となり、無作為や件数稼ぎ的な調査は減少するかもしれません。
調査の効率化も進むと考えられます。
データ分析による調査が進むことで、現地調査で問題点を洗い出すよりも、システム画面上で疑問点を洗い出した上で訪問するスタイルが増えると予想されています。その結果、調査件数は減っても、1件あたりの濃度は上がると考えられます。
KSK2では、調査先でのデータの参照も可能になるようです。調査官は以前よりも簡単に情報にアクセスすることができそうです。
まとめ
令和8年9月のKSK刷新は、単なるシステム更新にとどまらず、
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納付書の様式変更
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納税者データ活用の変化
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税務調査のスタイルへの影響
という点でも注目です。
納税者にとってもデータの整合性がより重視される時代になります。
これまでと同じく、日々の会計処理を丁寧に行い、説明可能な形で記録を残しておくことが重要です。