量子もつれを見られる装置。
万博会場で体験した「エンタングル・モーメント」。
量子力学では、「自然界はこれまでの常識や感覚では説明できない現象がある」と証明されています。それを「実際に見る」ことができました。
日常の常識から解き放たれ未知の世界に触れる楽しさ。
エンタングル・モーメントについてご興味ある方は是非。体験記録です。
万博会場で体験した「エンタングル・モーメント」
量子力学に「触れられる」展示があると聞き、会場まで足を運びました。
「エンタングル・モーメント」と題された展示会は、私たちをとりまく「量⼦・海・宇宙」の世界をアートとサイエンスで体感できる空間です。触って楽しめる仕掛けもたくさんありました。
以前、素粒子の記事を書いたように、私は「粒」にとても興味があります。目に見えないほどに小さく、「性質」や「波動」となったその小さな存在に惹きつけられます。
量子力学の誕生から100年。会場では、京都大学や大阪大学の研究員の方に、素人の私や子どもでも直接お話を伺える機会もありました。
双子の光子「ミツコ」
展示内容の中でも特に興味を持ったのが、「双子の光子」です。
入口には解説映像のコーナーがあり、キャラクター「ミツコ」が登場(もしグッズがあれば欲しかった…!)。「ミツコ」が、光子の性質や量子もつれの基礎を、わかりやすくおしえてくれます。
光は波であり粒でもあること。普段目にしている光は膨大な数の光子が集まってできていますが、光子を1つだけ取り出して実験すると「波のようでもあり、粒のようでもある」という不思議な性質が現れること。
そして「双子の光子」が不思議な結びつきを持つ(量子もつれ)ことです。
5歳には難しかったけどキャラクターと映像に引き込まれていて、10歳の長女は興味を持って理解しようとしていました。正直、大人の私も頭を使わないとついていけない世界です。
何が不思議なのか
展示装置もさることながら、なぜ不思議なのかについてまとめてみます。
「普通の世界」では、離れたもの同士は光速以上で情報を伝えることはできません。
ところが双子の光子は、どんなに離れていても測定結果がつながっているのです。実験を重ねてもその相関は確かに存在します。
長女と話した例えで言うと、「遠く離れて暮らす双子の一方がくしゃみをした瞬間、もう一方もくしゃみをする」と決まるように見える、ということです。しかも観測するまでは両方とも「未定」で、片方を観測した瞬間に両方が同時に決まるのです。
そんな双子の光子を「目で見る」ことができる装置がありました。
実際に見た3つの装置は以下の通りです。
装置1:双子の光子が生まれる瞬間をリアルタイムで可視化
装置2:半透鏡を使った実験で、双子の光子が干渉する様子を確認
装置3:ベルの不等式の破れを検証し、「性質はあらかじめ決まっている」という古典的な考えを否定
これらを実際に目の前で体験できること自体が驚きでした。
(※「ベルの不等式」とは、古典的な常識で説明できるかどうかを見極めるテストのようなもの)
「説明できないものが確かに存在する」という事実を前にすると、自分の考え方や日常の見え方も変わってくるようです。「常識」とは「普通」とはなんだろうかと、思いを馳せる時間になりました。