年末調整は「年内」でも「年明け」でもOK
新しく会社を設立した方から、
「年末調整は年内にやらないといけないんですか?年明けでもいいんですか?」
という質問をよく受けます。
結論から言うと、どちらでも税務上は問題ありません。
ただし、次のような前提があります。
年末調整は、その年に支払った給与にかかる所得税を精算する手続きです。
したがって、対象となるのは1月1日から12月31日までに「支払うことが確定した給与(支給日ベース)」に限られます。
たとえば、12月分の給与を翌年1月に支払う場合は、その給与は翌年分の年末調整で扱うことになります。
実務上の期限と注意点
法令上、「12月中に終わらせる義務」はありません。
ただし、年末調整後に行う各種手続きには期限が定められています。
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源泉所得税の納付期限:翌年1月10日まで(納期特例適用時は1月20日まで)
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源泉徴収票・法定調書の提出期限:翌年1月31日まで
このため、実務的には1月末までに年末調整を完了しておくことが目安になります。
12月支給分で処理しても、1月支給分で実施しても構いませんが、最終的に上記期限に間に合うよう段取りを組みましょう。
新設法人が判断するときのポイント
初年度は、給与計算や手続きの流れがまだ整っていないケースも多いです。
そのため「年内に終わらせる」ことを目的に無理をする必要はありません。
判断の際は、次の点を基準に考えるとスムーズです。
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給与の締日・支給日がいつか
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扶養控除等申告書など必要書類がいつそろいそうか
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年明けにほかの事務(法定調書・給与支払報告書など)がどれくらい発生するか
社員数が少なく、事務も自分で行う場合は、年明け実施のほうが現実的です。
一方で、早めに処理しておきたい場合は、12月末支給分で調整を完了させる選択も可能です。
どちらを選んでも問題ありませんが、
翌年1月10日〜31日までの一連の提出期限を意識してスケジュール管理を行うことが重要です。
まとめ
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年末調整は「年内」でも「年明け」でも実施可能。
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対象は「その年中に支払った給与(支給日基準)」。
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翌年1月10日(納付)〜1月31日(提出)の期限までに完了すればOK。
会社の実情に合わせた無理のないスケジュールで判断しましょう。
