【決算書の読み方】中小企業向け 純資産の部と配当の基本ルール

昔のお金。
あまりクローズアップされない純資産の部について整理してみます。

純資産の部の基本構成と役割

貸借対照表の「純資産の部」には、会社の元手やこれまでの「利益の蓄積」がまとめられています。
主な勘定科目は次のとおりです。

  • 資本金:会社設立時や増資時に株主から出資された額。会社の基盤であり、配当に回すことはできません。

  • 資本剰余金:新株発行など資本取引で生じた差額部分。なかでも「資本準備金」は法定準備金であり、原則配当に使えません。

  • 利益剰余金:営業活動の成果として蓄積した利益。配当の中心的な原資となります。

【純資産の部】

├─ 資本金    【配当不可】
├─ 資本剰余金
│ ├─ 資本準備金【配当不可】
│ └─ その他資本剰余金【条件付きで配当可】
└─ 利益剰余金
├─ 利益準備金【配当不可】
└─ 繰越利益剰余金【配当可:メイン財源】

配当に使えるものと使えないもの

純資産のすべてが配当に使えるわけではありません。

配当に使えないもの

  • 資本金
  • 資本準備金
  • 利益準備金(法定積立金)

配当に使えるもの

  • 繰越利益剰余金(過去利益の蓄積分)
  • 資本剰余金のうち、資本準備金以外の部分(条件付きで利用可)

つまり、実際に株主に分配できるのは「利益剰余金(繰越利益剰余金)」が基本です。
赤字を繰り越している場合には、たとえ今期黒字でも配当ができないケースがあるので注意が必要です。

会社法の積立ルールと実務上の注意点

会社法は、会社の財務を守るために「法定準備金」を積み立てるルールを設けています。

  • 利益準備金:配当をするたびに、その1/10を積み立てる必要があります。ただし、資本金の1/4に達したら積立不要。
  • 資本準備金:新株発行などで資本金に組み入れなかった部分を積み立てます。こちらも配当には使えません。

この仕組みにより、会社の元手が安易に株主に流出するのを防いでいます。
中小企業では特に、決算書の「繰越利益剰余金」がプラスかどうかをまず確認しましょう。配当を検討する場合は利益準備金の残高にも注意が必要です。分配可能額を超えた配当は「違法配当」となり、取締役が責任を問われるリスクもあります。

このように、純資産の部は、これまでの利益の蓄積が表れる重要な部分です。
各科目の内容を理解しておけば、純資産の部を通して会社のお金の流れや余力が見えてきます。無理のない配当や今後の経営の見通しを考える手がかりとして活用していきましょう。
【姉妹日記】
次女、英会話の男性の先生が「〇〇〇ちゃん」と呼ばれている理由がわからず。
よくよく聞いてみると「ボブティーチャー」(仮名)。「ボブティーちゃん」と思っていたようです。「キティちゃん」と同じ感じ?? 発音がネイティブに近いだけに。
長女の見立てでは、次女は英語と科学系に光るものがあるそうです。
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